ビッグデータで描く地域の航海図:RESASが解き明かす「実感」の裏側

私たちは今、情報が溢れる時代に生きています。しかし「自分の住む街の本当の姿」をどれだけ客観的に把握できているでしょうか。「なんとなく人が減った気がする」「観光客が増えたように見える」といった主観的な感覚は、時に大切な判断を誤らせることがあります。
その「実感」を「確信」に変え、地域の未来をデザインするための強力なツールがRESASです。
1. 地域の「健康診断」を自分たちの手で
RESASは、官民が保有する膨大なビッグデータを可視化するシステムです。かつて、こうしたデータの分析には高度なスキルと多額の費用が必要でした。しかし現在では、誰でもブラウザ一つで、滋賀・大津の経済、産業、人口の動態をグラフや地図として取り出すことができます。 これは単なる数字の羅列ではありません。街が抱える「課題」と、まだ眠っている「可能性」をあぶり出す、いわば地域の健康診断書なのです。
2. 深掘りする三つの分析軸
2-1. 人口動態:数字の裏にある「暮らしの選択」
滋賀県は全国的に見ても人口減少が緩やかな地域ですが、その中身を分解すると景色が変わります。
- 自然増減(出生と死亡)だけでなく、社会増減(転入と転出)を年代別に追う。
- どの自治体から人が来ているのか、あるいはどこへ逃げているのか。 この「人の流れ」を把握することで、ターゲットとすべき層や、移住・定住施策の本当の切り口が見えてきます。
2-2. 観光・人流:メッシュデータで見える「滞在の質」
大津・滋賀の観光を考える際、宿泊客数だけを見るのは不十分です。
- 1km四方のメッシュ単位で「いつ、どこに、誰がいたか」を可視化。
- 滞在時間や、他地域との周遊ルートを分析。 例えば「京都からの日帰り客が多い」という実感に対し、RESASで滞在時間を分析すれば、宿泊につなげるための「夜の魅力」の欠如といった具体的な課題が浮かび上がります。
2-3. 地域経済:稼ぐ力の源泉を特定する
地域の産業構造を「特化係数」という指標で分析します。
- 全国平均と比較して、どの業種が滋賀で強いのか(あるいは弱いのか)。
- 付加価値をどこで生み出し、どこで漏出させているのか。 自社のビジネスや地域活動が、街のどの循環(サプライチェーン)に組み込まれているのかを知ることで、真に連携すべきパートナーが見つかります。
3. ウェルビーイング:データの先に「幸せ」を置く
今、データの活用において最も重要な視点は「ウェルビーイング(幸福度)」です。GDPのような経済指標だけではなく、住民がどれだけその街に愛着を持ち、生活に満足しているか。 デジタル庁が推進するWell-Being指標とRESASのデータを掛け合わせることで、「豊かさ」の定義をアップデートできます。数字を追うことが目的ではなく、数字を「住民の幸せを増やすための手段」として使いこなす。これが新しい時代の地域経営の形です。
4. まとめ:データは対話のための「共通言語」
RESASを活用する最大のメリットは、立場を超えた対話が可能になることです。行政、経営者、地域住民。それぞれが見ている景色は異なりますが、客観的なデータという「共通言語」があれば、感情論に終始することなく、前向きな解決策を議論できます。
データという眼鏡をかけることで、昨日までの風景は「チャンスの宝庫」に変わります。大津・滋賀の次の一手を、確かな根拠とともに踏み出してみませんか。


